事務所ブログ

2013年8月30日 金曜日

法律 Q&A【自己破産】

弁護士の狩野です。
法律Q&Aの第2回です。
前回は住宅ローンに関する問題を取り上げた際に、自己破産について簡単に触れましたが、今回は、続編として自己破産のメリットとデメリットについて書いてみたいと思います。

Q. 40代(男性)の会社員です。車と買い物の支払いをするために、複数のクレジット・サラ金業者から借入をしてしまい、ついに返済困難に陥り、どうしてよいか分からずどこかに逃げ出してしまいたいです。無料法律相談にいったら「破産」という話をされましたが、破産したら会社で働くこともできなくなり、外すら歩けなくなるのではないかと不安で夜も眠れません。どうしたらよいでしょうか。

A. 多額の借金を抱えていても必ず解決する方法があります。どうか悲観的にならないででください。それは借金問題の根本的な解決にはなりません。

多額の負債を整理するための強力な手続が、自己破産です。
破産とは、過大な負債を負っている場合に、現在ある資産から弁済する代わりに、残った負債については支払を免除する制度です。
破産は、借金問題への対策として有効な手段ですが、誤解や偏見も多く存在します。よく見受けられるものとして、
①戸籍や住民票にも掲載され、結婚や就職等に支障がでる
②会社を解雇される
③選挙権を失う
などが挙げられます。

破産すると一生みじめな生活を強いられるという悪いイメージが持たれがちですが、現在は、自己破産をしても戸籍や住民票に掲載されることはなく、また選挙権を失うこともありません。
破産手続の開始の決定は「官報」で公告されますが、一般の人が官報を見ることはありませんし、裁判所から破産された方の勤務先に通知されることもありません(なお、インターネット上に官報の無料検索サイトが存在していますが、掲載期間が限られています)。
また、万が一、破産したことが会社に知られたとしても、会社は自己破産を理由に解雇することはできません。仮に就業規則に自己破産を申し立てたことを理由として、懲戒解雇することが定められていても、そのような規定は無効となります。

自己破産のメリットとデメリットを、以下にまとめてみます。
<メリット>
・免責決定を受けることができれば借金の返済義務が消滅
(一部の非免責債権については例外)。

<デメリット>
・資産(特に不動産)が処分される
・職業の制限を受ける
 (弁護士、司法書士、警備員、保険外交員等一部の業種)
・一定期間信用情報機関に登録される

自己破産では、最終的に免責許可決定をうけることによって、返済を免除されます。
破産法という法律には、その目的として「経済的再生」が掲げられていますが、このことにも表れているとおり、自己破産の目的の一つは、借金からの「再出発」です。
確かに、債務の免除を受ける代わりに、高額な資産を手放すこととなったり、債権者に対する説明を果たさなければならなかったりと、簡単に借金が「チャラ」になるわけではありません。しかし、このようなプロセスも借金問題を見つめ直すきっかけとなり、生活を立て直すために役立つとも言えます。

借金の問題や日々の督促を一人で抱え込むのは大変なプレッシャーとなります。
お一人で悩まずにぜひお気軽にご相談下さい。



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投稿者 ノモス総合法律事務所

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